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私の唯一とも言える絶対の王が死にました。
あの人の晩年私は忙しくなかなか宮殿のあの人がいる部屋に行くことは叶いませんでした。犬達に囲まれた穏やかな老後はあの人の理想だったかもしれません。私が時折遊びに行くと犬達を撫でながら庭を眺める姿が多かったような気がします。そして私に気がつくとこう言ったものです。「おや、プロイセン、また来たのかい。全く困った子だ。こんなにしょっちゅう私の所に来ては次の王と上手くいってないのかと周りに思われてしまうよ?」と。
それは事実に近い指摘でした。実は後を継ぐだろう次の王とはあまり上手くいっていなかったのです。というよりも、この人が例外中の例外で上手くいっただけであって、他の王とはどうにも私は上手くいかなかったのです。なぜなら彼らは私を、私たちを腫れもののように扱うのですから。戦争中は例外でした。彼らは私の策略と指揮力を、このときだけは求めます。私が馬に乗って掛ければ彼に続けと高らかに叫び全てを私に任せます。けれど、彼らは私が普段彼らの視界に入ることを酷く嫌がります。私という存在が彼らの頭の中で理解しにくい存在なのでしょう。男のふりをした女の国など他に例がありませんから。この秘密は彼らが王になる直前に知らされます。すると今まで尊敬や信望を孕んでいた眼差しに少々の疑惑がまざるのです。それが私には酷く嫌でした。私は私であって男だろうと女だろうとするべきことは変わりないのです。よく言われました。何故女らしくしないのかと。隣国の様にすれば良いのではないかと。隣国のオーストリアは気高く美しいまさに女性として理想でした。私から見ても彼女は美しく気品に溢れていて、まるでかの有名なオペラの中からあらわれ出たかのような存在でした。けれど私は違うのです。幼いころから剣一本で生きてきました。もちろん、ミンネとして生きた時代はあったのです。白いワンピースを身にまといただ求められるがままに頬笑み輪の中心で踊り歌った頃が。けれどそれだけで私は生きたくなかったのです。怪我をし、時に半死半生で帰ってくる仲間達をただ見守り治療をするだけというのは私には無理でした。私は彼らとは違う存在であるということにすでに気がついていましたから。怪我をしてもすぐ治ることも、この仲間達がいる限り死ぬことが無いことも、私達は気付いていました。だから、「私も剣を持つ」そう宣戦した時、団長はこう言たのでしょう。「ならば私達はお前の為に国をつくろう」と。懐かしい思い出です。腰まであった髪を切り、血を吐くような訓練をしました。歌を歌っていた喉は枯れ、体系は少女のそれから少年の様なそれへと変わりました。私はこの仲間達の一員として戦っていました。だからこそ、あの国に招かれた時、交えた剣で傷だらけになっても、たとえその剣が私の顔を傷つけても彼らは何も言いませんでしたし私も気にしませんでした。それが、国が成り立ち出したころ変わりだし、そして成立するとますますそれは顕著になってしまいました。私は性別というものをあまり意識していません。だって、私は国なのですから。
今思えば我が王の時は全てが例外でした。あの人は私が初めから女だと気づいていました。それは彼が異性という存在をあまり好んでなかったからなのかもしれませんが、気づいていて、けれどあの人は何も気にしていませんでした。私は久しぶりに女でもなく男でもなくプロイセンという一国として扱われたのがとても嬉しかったのでした。国として恥ずかしくない格好と振舞いをとは散々言われましたが、あの人は私がどのような服を着てもどのような振舞いをしても性別を意識した扱いをしませんでした。唯一の例外と言えば彼が即位してから何年後かの寒い冬の朝の一件です。私の名を持つ青の軍服と白のロングブーツをいきなり手渡されました。そしてあの人はその際に言いました。お前の好みには合わないかもしれないが、と。確かに好みだったかと言えばそうではありません。明らかに女を意識した作りでしたし、戦場を駆けるには少々難がありましたから。けれどそれは彼の美意識という観点からつくられた大切な一着だということが私にはわかりました。だから私は受け取ったのです。もっとも彼の在位中に私がそれ着ることはありませんでしたが。あの人はよく私の知力や知識、策略と言った類を大変に褒めてくれました。二人で執務室で夜通し作戦を練ったのも今では思い出です。もちろんコーヒー片手に優雅にというだけではありませんでしたし、執務室ではなく野戦地であったこともしばしばでしたが。あの人が戦争の才能の持ち主であると同時に芸術的才能を持っていたことは周知の事実であり、実際そのフルートは大変美しい音色でした。私には音楽的価値というものを理解することはできませんが、その音色を聞くととても落ち着きましたし、なんだかほっとしたものです。そう素直に告げるととても喜んでいたように感じました。私は音楽的というか芸術的なものごとというものに関心が有りませんでしたのであの人が私にフルートを教えてくれても全く駄目でした。もちろん、吹けはしますし、楽譜だって読めます。でも、それだけなのです。思えば芸術関係で私はフルートを褒めたこと以外彼と話をしたことはなかったかもしれません。他のことはあんなにたくさん話していたというのに。別枠なのは私の髪ぐらいでしょうか。あの人は何故だか私の髪を美しいとよく言っていました。そこにどんな芸術的意味があるのかは分かりませんでしたが、私は単純に嬉しかったのを覚えています。性別関係無く、というのももちろんでしたが、あの人に美しいと言われるものを私が持っていることが嬉しかったのです。もちろん他の国王にも言われていた言葉でしたが彼らのは裏の意図や続く発言が、だから伸ばして女らしくしなさい、だったので。そんな訳で嫌悪感ばかりが募るものでした。けれどあの人はただ褒めるだけでした。それが言いようもなく嬉しかったのです。手放しでほめられて嫌な人間はいないでしょう。私もそうだったということです。
私は、今日からその髪を伸ばします。このままだと鏡を見るたびにあの人を思い出してしまいそうなので。そして、この髪を見ても悲しくも辛くもせつなくもならなくなったらまた切ろうと思います。
あなたとの歴史は決して忘れません。けれど、どうか。このあまりにも人より永く生きる私たちの性と弱さを許して下さい。あなたとの歴史は抱えて生きるには優しすぎて辛いのです。だから一旦置かせていただきます。そうですね、この歳の離れた妹が一人前になるころには、きっと。
そろそろ筆を置こうと思います。では、またいつか。
好き勝手設定を放り込んで捏造した。最大の問題は無駄に長いところだと思います。
多分公式絵だと親父の全盛期ごろがロングなんだと思うけど、まぁそこは、ね。
あと勢いで書いたせいか、果たしてこれはにょたりあの世界なのか、それとも普と墺と洪だけが性転換してるのかよくわかんないっていうね。ちなみに私は後者を押したい。
こう、野蛮なイメージのにょぷが手紙や文章を書くときは穏やかな口調だったらいいと思う。
逆に女墺は結構さばさばした文章を書くと良い。文面だけみるとまるで逆な二人。私得。
こうゆう一人称独白系は凄い好き。読むのが特に。書くのは、難しいよね・・・。
