あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
同盟を結んだ東のはずれの島国。春の陽射しがあたたかな日、俺はその国を訪れた。訪れた時期が良かったらしく、桜は満開。その美しさを目の前に「綺麗だな」と自分にしては素直な感想が言えたものだ。「夏は夏で美しいのですよ」秋は秋で、冬は冬で。美しい四季の国ですから。「是非いらしてくださいね」その立ち居振る舞いと人柄から穏やかな国なのだとわかる。このどこにあの鋭利さを隠し持っているのか、不思議でならない。そう伝えれば「私だってそうですよ」と意外な答えが返ってきた。アメリカくんのお兄さんだと聞いていたので一体どんな方なのかと思っていたのです。あぁ、あいつか。確かにあんな風に育てた覚えは無いんだけどな、思わず呟けば、でしょうね、と穏やかな微笑みが向けられる。その微笑みの裏で何を考えているのか。欧州の連中はある意味で分かりやすい。嫌いなものは嫌い、それを押し付けるならば抵抗するしその手段は問わない。けれどこの国は違う。全く違う形で俺達を脅かす存在になるだろう、国としての直感が警報を鳴らした。警報は未だに鳴り響きその音は大きくなるばかり。あぁ、でも、お茶を飲んでいた手を止めて日本が呟く。「似ているところもありますよね」「…例えば?」「たまに何もかも見透かしたような目をするところとか、無意識に相手と距離をとるとか」似ていますよ、とお茶を片手に日本は微笑む。嫌な沈黙が降りた。よろしければどうぞ、多少苦いかもしれませんが、との注釈付きで出されたお茶を飲むことでごまかす。やはり苦い。「あと、」「?」「当たり前の様に自分が上だと思っているところもそっくりです」「…」「あれ、違いますか?」穏やかな微笑みを貼付けてはいるものの、瞳が笑ってはいない。夜の湖の様な黒の奥、燃えるのは青い炎。かちゃり、横に置かれていた日本刀(これも大層美しい)が鳴る。それを手に取ったのだと理解したと同時に自分も銃に手をかけていた。早打ちに自信は無いが、刀を抜くよりも早く引き金を引く自信はある。殺気と緊張が一気に駆け抜ける中、沈黙を破ったのは向こうだった。「今、私より早く自分は引き金を引ける、と思いましたね」「…あぁ」その通りだ。…、成る程。「そこが嫌いか?」「いいえ」あっさりと刀にかけた手を外す。それに合わせて俺も手を戻した。他人の家で騒動を起こす必要などない。まして今は一応友人なのだから。「どうやら私は貴方の事を誤解していたようです」「…」「打つと思いました、私が刀に手をかけた瞬間に」「友好関係にある国の家で無駄な騒動を起こす必要はない」「…アメリカくんは打ちましたよ」あの馬鹿、何をやっているんだ。「失礼しました」すっ、と青い炎が消える。あぁ、恐ろしい。新しいお茶をいれてきますね、と立ち上がり台所へと歩いていくその姿に足音は無い。気配など当然の如く。全くとんでもない国がいたものだと、同盟を組んだのはある意味正解だったと、自分の直感に感謝した。
PR
Comment
Welcome
Plofile
HN:
せつい(雪意)
性別:
女性
Archive
Search
since 2010.06.06
→2010.10.05~
