あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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U-18の代表のメンバーといえばほぼ知り合い同士である。会うのは代表の時だけという面々も多いが過ごしている時間の密度は高く、場合によってはU-12や14から一緒にやっていたり、同じジュニアユースの場合も多いから、下手したらクラスメイトよりもずっと仲が良かったりする。俺の場合キャプテンの渋沢さんと三上先輩は中学から一緒にやっているし、水野と藤村や真田と若菜と郭、山口と横山と須釜、椎名と黒川等付き合いが長い連中は多い。だから皆ある程度どんなサッカーをするか理解している。そんな中、フィールドに立った時の自分。それを理解出来る人は少ないらしい。キャプテンも三上先輩もタクも口を揃えて言う。サッカーしてるお前ってよく分からないと。普段の俺は完璧に分かるのにフィールドに立つと別人だって。俺自身はそんなつもりはない。俺は楽しければ良いだけなんだ。サッカーが、俺の生き甲斐が。フィールド上で互いを理解する方法はボールを介して以外ありえないっていうのが俺のポリシー。キャプテンのフィードや三上先輩のスルーパス、水野の虹みたいなパスに山口のキラーパス、郭の正確無比なパス。そこには確かな意思があってそれを汲んだ上で俺の意思を上乗せしていく。FWの連中は皆そう。俺にしても真田にしても藤村にしても、きっと風祭にしても。でもやっぱり皆それぞれ微妙に違っている。例えば俺と藤村は絶対に考えが噛み合わない。俺らは似てるってよく言われるけど全くもって違うんだ。逆に俺とそっくりなのが真田。本人は否定したいみたいだけど、一緒にプレーすればそれはわかる。分かっていながら否定したがる真田の強さが俺は結構好き。それに、「俺はお前を一番の理解者だと思ってる、フィード上限定だけど」そんな言葉を伝えたら、一瞬目を見開いて一つ溜息を吐いた後、「俺もそう思う」と呟いた。うん、やっぱり俺らは理解し合ってる。「確かに俺はお前がフィールド上で考えてることもやりたいことも俺には何となくわかるよ」俺と違って口数の少ない真田の言葉はゆっくりと紡がれていく。「でも、それだけだ」「…、そっか」確かにその通りなのかも。俺ちょっと甘えてた?なんて問いかければ、別に普通だろ、と素っ気ない返事。冷たいなぁ。ひょいと立ち上がって見上げた空は広くどこまでも続いている。そこから視線を下ろせば休憩中のメンバーが目に入る。見慣れたメンバー、着慣れたユニホーム、やりなれたサッカー。「そんなに退屈か?」ぐさりと突き刺さる一言。「…別にそんなこと言ってない」「嘘だな」「…」「理解し合ってるって言ったのはお前だろ」確かにそうだ。墓穴掘ったなぁ。「別にお前が楽しかろうが退屈だろうが関係ないけど、」「…けど?」「サッカーは楽しくやるもんだろ」「…うん」うん、そうだよね。「次腑抜けな真似したらその番号奪うからな」「りよーかい!」よし、頑張ろう!休憩終了を知らせる監督の声が響く。各々が動き出す中こちらに向かってくるいくつかの姿。「行こうぜ!」「うわっちょっと待て!」強引に手を引いて走り出す。真田は座ってたからバランスを崩したけど転ぶようなやわな鍛え方してないからね、あっという間に立て直して走り出す。まだまだ行ける気がしたよく晴れた日の午後。
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