あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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女の人って偉大だよなぁ、と山陽がいきなり呟くものだから、タイピングしている手が思わず止まる。山陽の無駄話が長いのは知ってるし、そんな事をお互いにしている場合ではないのだけれど(レポートの締め切り的な意味で)、まぁ、たまには良いかと手を休めることにした。目の酷使で大分疲れているし、何より見通しがたったので。そうだな、と独り言に答えると、返答があったことが意外なのか少し遅れて反応が返ってきた。先を促すとゆっくりと話し出す。それは、知り合いの医者の体験で、交通事故に母親と幼児が巻き込まれ、幼児は母親が庇って無傷だったものの、母親はもろに車とぶつかった為に意識不明の重体、数週間生死の境目をさまよいこの前ようやく意識を取り戻した。その時の第一声が子供の無事を確認するものだった、という話だった。女の人って偉大だよなぁ、再び同じように呟く山陽に、同じように返す。そうだな。きっと母親からしてみれば子供というものが命よりもずっと大切で守りたいものなんだろう。母というものに対してろくな記憶を持ち合わせていない俺達には、そのあたたかさが少し羨ましい。母親かぁ、机に伏せてこのまま回想という名の現実逃避に突入しそうだが、そんな余裕はない。「それよりも、さっさとレポートをやれ。締め切りは明日だからな」「…はーい」そんな完徹二日目の深夜の話。
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