あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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魔女ミサ。私達魔女が月に一度集まって開催される会議という名の近況報告会。何故こんなことをするかと言えば、生存確認以外の何物でも無い。少し前までは他種族との争いで命を落とすことが多く、それが同盟を結ぶことで解消されたと思ったら、今度は人間共が魔女狩りなんてものをはじめてくれちゃって。魔女は寿命が人よりもずっと永いだけで不死ではない。他種族と争ってた時より死亡率は格段に低いけれど、人間に混ざって生活しているものもいる私達からしたら魔女狩りは中々の問題だ。それを専門職にするハンターなんてのも生まれちゃって、面倒なことこの上ない。大体魔女は魔女狩りの対象だけど魔術師達は対象外なんて理不尽な話だわ。まぁそれよりも普通の人間なのに魔女に仕立てあげられてしまった人達の方が理不尽な思いだったことは確かでしょうけど。現時点での魔女は8人。東が5人、東海と西と九州が1人ずつ。少ないと思われるかもだけれど、そんなものよ。混血を入れればもう少しいるのでしょうけど混血の魔女は魔女とは認められないから。東に人数が多いのは昔から人よりもそれ以外が多い地域だから。ミサには来れないけど部下的存在の魔術師も沢山いるはずだわ。逆に南、西は人が多いものだから、魔女も自然と少ないってわけ。魔女狩りと他種族との戦いで随分死んでしまったってのもあるわね。そして特異なのがほぼ中央を占める東海。ここでは魔女は絶対に一人しか生まれない。そしてここの魔女がクイーンと決まっている。今のクイーンの名は道子。そして私は長いことその補佐をしている。「道子、時間だけど行ける?」「えぇ、大丈夫」ソファーに腰掛けている道子の手に触れる。ありがとう、ふわりと向けられた微笑みと視線は若干合わない。そりゃ、そうよね、道子は目が見えていないのだから。先天的に、というわけじゃない。これは同盟を結んだ時の代償。道子は私達を庇って魔力を使いすぎてしまった。そして、もちろん向こうのリーダー、魔女と敵対してきた異種族たちのトップである吸血鬼の代表者にもそれなりの代償を与えたけれど。それでも許せない。何よりも一瞬の油断で道子を失いそうになった自分が。「陽子、どうしたの?なんだか泣きそうだわ」ぴたりと頬に触れた手は冷え性故に冷たい。けれど、彼女の命を感じることが出来てほっとする。視力を失っても魔力まで失ったわけじゃないから、道子の生活に特別支障があるわけじゃない。けれど夜の湖のような凪いだ深い色をしたあの瞳を見れないのが酷く寂しい。「何でもないわ。さ、行きましょう?皆待ってる」会えば会ったで厭味の応酬なのだけど、まぁそれがお互い元気な証拠といえるから。「えぇ。乃子に会えるのが楽しみだわ」まだ幼く魔女見習い的な乃子はクイーンの道子をとても慕っていて会うと嬉しそうに駆け寄ってくる。それを道子はとても楽しみにしているようで、会う度に新しい魔法を教えている。ちょっと羨ましかったりするのだけど、私も魔女になったばかりの頃は道子に沢山の魔法を教えて貰ったのだから。魔女狩り対策に、新しい魔女探し、吸血鬼達の動向の確認、他にも色々。やることがいっぱい。でも、道子がいる限り私は頑張れるから。この繋いだ手を離さないように、私はこれからも生き
ていく。
ていく。
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