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あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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「っ、ぅわ」急な眩暈がしてしゃがみ込む。休んでる暇など無いというのに。フランスとの戦争開始までカウントダウンに入っている。「あー」視界の歪みは無くならず、段々とブラックアウトしてきた。最近こうなる回数が増えてきてるのは自覚済みだ。ブランデンブルクがいなくて良かった。あいつのことだからルッツのことを睨むに決まってるし、下手したら激昂して傷つけかねない。ぼやけながらもようやく戻ってきた視界の先は床と軍靴。そこにぽとりと滴が落ちた。ぽとりぽとりと大粒の水はあっという間に床の色を変える。あぁ、泣いているのか。久しぶりだ、涙が零れるほどなのは。何百年ぷりだろうかとどこか他人のように思う。「ねぇさん?」あぁ、ルッツ。お前まだ寝てなかったのか。「ねぇさん、だいじょうぶ?」幼い手が頬に触れると、そこが焼けるように熱い。「大丈夫、驚かせてごめんね」あぁ、ルッツ、ルーイ、ルートウィヒ。この身に代えても生まれてくる貴方に祝福を。

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酒は美味い。当たり前だけど、こうゆう時更に実感する。親しい面子で愚痴やら希望やら恋やら愛やらを語りながら、宅飲み。俺と東海道の家はこうゆうとき役に立つ。大学時代もこうだったなぁと懐かしむ過去はまだ意外と最近だ。全員が研修医にもかかわらず、奇跡的に休みが被ったこの日、他にやることも山積みだったりするけれど敢えて無視してこうして集まって飲んでいる。面倒臭がる東海道を押し切って引っ越して良かった、大学時代住んでいたマンションよりも大きくて、防音がそれなりのこの部屋は、研修医になってまぁ色々抱えてる俺達が飲んで騒いでも問題ないから。騒ぐといっても殆どの面子がザルで、弱いのも酔えばすぐ寝るタイプだからたいしたこと無いんだけど。ちなみにザルなのは東北上越山形秋田北陸。弱くて早々に落ちたのが東海道。今はソファーで寝てる。俺?俺はまあ普通、っていうか飲める方だけど、一緒に飲むのがこのメンバーで、そっちのペースに合わせたら誰だって潰れるだろ、うん。机の上やら床やらに並べられた空き缶とボトルと一升瓶の数々。いやー、飲んだね。それぞれが忙しい身だからこんなに揃えることなんてまずない。内科の俺に外科の東海道、精神科の東北、小児科の上越と北陸、麻酔科の山形、看護師の秋田。ホント大学時代に戻った気がする。懐かしいなぁ。「山陽、つまみ作ってー」回顧は上越の一言で遮られる。あー、はいはい、お任せください。またしばらく集まれることなんて無いから、この時間がいつまでも続けばいいのにと柄にもなく思った。

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それは悲鳴だ。壊れる人形の最後のメッセージ。俺はそうはならないよ。死ぬときは潔く声をあげずに。けれど、堂々と。俺の全てを霞むこと無くこの緑の上に刻み込む。そう、俺自身に誓ったから。いつかは失われる地位も栄光も今はまだ全て俺のもの。だからほら、奪いにおいで。全力で迎え撃つから。ねぇ、俺を満足させてよ。

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夕焼けの屋上。夕方特有の冷気が肌を撫でる。「さんよう」呼ぼうとした声は喉で詰まって音を成さなかった。ほんの数時間の出来事だった。ひとつの命が消えるまで。その時運悪く山陽は研修で大学の病院に行っていて。連絡して、戻ってくるまでの1時間、灯は消えた。病状の悪化は読めない。病は肺ガンだった。最初の摘出は私が担当して、一旦は落ち着いたものの、再発。その時には転移が進んでいて、末期だった。耐性がついてしまったがために、抗がん剤は効かず、ヒルモネの微妙な管理を山陽が行っていた。高齢の男性で、山陽や私も含めて接する面々を孫のように可愛がって下さっていた。優しい、穏やかな方だった。「山陽」響くように声を出す。「…すぐ、戻るよ」こちらを見ずに答えが返ってくる。「すぐ、戻るから…」再び紡がれる言葉。独りになりたい時もあるだろう。けれど、痛みは背負うものでなく分け合うべきものだ。でなければ寂しいだろう、特にお前は何でも背負い込んでしまうから。隣に並んで手に触れる。すると、ずるずると座り込んだので、それに合わせてしゃがみ込む。伏せてしまって表情は読めない。小刻みに震える肩を抱き寄せて、あやすように背中を撫でる。お前はよく頑張ったよ。言葉にするのは容易だが、全てが言葉で伝わるわけではないのだ。この触れ合う体温が山陽の中で力にかわることを祈る。撫でる手から、抱き寄せた肩から、傷を癒すことが出来たなら。一つの命が消えたのを一人で平然と背負い込めるほど私達は出来た人間ではない。医者も人間なのだ。それを忘れたら私達は…。しかしながら、立ち直りを緩やかに待てる程、この場所は穏やかでは無い。ポケットでPHSが鳴る。これが鳴るときはだいたい急用だ。急いで取れば看護師の秋田の声。「東海道、すぐ戻って。急患だ」「容態は?」「20代男性。バイク事故。肋骨が折れて肺に刺さってるみたい」「わかった。山形を呼んでおいてくれ」「もう呼んであるよ」「流石だな、すぐ行く」「よろしく。ついでに山陽に早く戻ってこいって伝えといて、まだ仕事残ってるんだから」「了解」PHSを切る。「だそうだ、山陽」「はいよ」ようやくあげた顔はまだ少し暗く、引きずっているものの多分大丈夫だろう。もうすぐ今日一日も終わる。明日は休みだから二人で飲み明かせば良い。それでも苦しければ二人で溺れればいい。そうして二人で生きていこう。そうだろう、山陽?深呼吸と同時に山陽が両頬を叩く音が響く。医者が落ち込んだ顔をしてはいられないのをよく理解しているから。「よし、戻るか!」「あぁ」「あ、東海道、次手術頑張れよ」「お前に言われるまでもない」では戻ろうか。私達のいるべき場所へ。

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・頑丈な檻の秘密
とある人達の話。自己満足。

・犠牲はきれいに無視
高速組の医者パロ妄想が止まりません。前書いたのは大学病院のイメージだったけど今回は普通の大きい病院のイメージ。

・群生群青
初めて笛!の話を書いた。でも、やっぱりこの子達は神聖過ぎて書けない。

・劇場で産まれた罪人
小さい子は異性の親に恋心というか自分を見てほしいと思う。けれど、イギリスの接し方をみると慈愛に満ちた母というより不器用な父みたいな印象を受けたから。あとメリカは思春期の子のような矛盾さと傲慢さとを兼ね備えてて欲しい。で、露様は小さなこどものような無邪気さと残忍さのイメージ。

・五色灰
とある人達の話そのに。自己満足自己満足。

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グレースケールの世界。色はとっくの昔に亡くしてしまった。あの日あの時、何もかも捨ててしまえば楽になれたのかと考えることがある。皆そうだと思う。幼い俺達に叩きつけられた現実は曖昧ながらも夢見た、先を見ようとした全てを奪って行った。けれど、最後の最後で諦めたのは自分の弱さ。それを認めるまで少し時間がかかってしまったけど、だからこそ、俺達は今を、今から走り抜ける道を諦めない。

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俺は君から独立する。たった一言。俺の野望は叶おうとしている。いや、その野望の一歩が、と言った方が正しいのかもしれないけど。戦場で会ったイギリスは非情になりきれてなかった。本当に俺を敵対する存在とみなしていたならあんな顔は、あんな目はしない。君はもっと冷酷で、歯向かうものは全て叩き潰す、そんな性格のはずだ。エメラルドの奥に見えたのは親愛の情。それが見たかったわけじゃない。俺が憧れた世界の覇者は、戦場で相対したかったのは、俺を育ててくれたイギリスじゃなくて、俺を敵と見なしたイギリスなんだ。そのために他の国にも協力して貰って対等に、それ以上に戦えるように準備したのに。俺は、君と肩を並べたいんだ。君が俺だけに向けてくれる優しい瞳も好きだけど、もうそれだけじゃ足りない。ねぇ、俺を見て。そして気付いてよ。俺はもう君の弟じゃない。君と肩を並べられる大人なんだって。

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U-18の代表のメンバーといえばほぼ知り合い同士である。会うのは代表の時だけという面々も多いが過ごしている時間の密度は高く、場合によってはU-12や14から一緒にやっていたり、同じジュニアユースの場合も多いから、下手したらクラスメイトよりもずっと仲が良かったりする。俺の場合キャプテンの渋沢さんと三上先輩は中学から一緒にやっているし、水野と藤村や真田と若菜と郭、山口と横山と須釜、椎名と黒川等付き合いが長い連中は多い。だから皆ある程度どんなサッカーをするか理解している。そんな中、フィールドに立った時の自分。それを理解出来る人は少ないらしい。キャプテンも三上先輩もタクも口を揃えて言う。サッカーしてるお前ってよく分からないと。普段の俺は完璧に分かるのにフィールドに立つと別人だって。俺自身はそんなつもりはない。俺は楽しければ良いだけなんだ。サッカーが、俺の生き甲斐が。フィールド上で互いを理解する方法はボールを介して以外ありえないっていうのが俺のポリシー。キャプテンのフィードや三上先輩のスルーパス、水野の虹みたいなパスに山口のキラーパス、郭の正確無比なパス。そこには確かな意思があってそれを汲んだ上で俺の意思を上乗せしていく。FWの連中は皆そう。俺にしても真田にしても藤村にしても、きっと風祭にしても。でもやっぱり皆それぞれ微妙に違っている。例えば俺と藤村は絶対に考えが噛み合わない。俺らは似てるってよく言われるけど全くもって違うんだ。逆に俺とそっくりなのが真田。本人は否定したいみたいだけど、一緒にプレーすればそれはわかる。分かっていながら否定したがる真田の強さが俺は結構好き。それに、「俺はお前を一番の理解者だと思ってる、フィード上限定だけど」そんな言葉を伝えたら、一瞬目を見開いて一つ溜息を吐いた後、「俺もそう思う」と呟いた。うん、やっぱり俺らは理解し合ってる。「確かに俺はお前がフィールド上で考えてることもやりたいことも俺には何となくわかるよ」俺と違って口数の少ない真田の言葉はゆっくりと紡がれていく。「でも、それだけだ」「…、そっか」確かにその通りなのかも。俺ちょっと甘えてた?なんて問いかければ、別に普通だろ、と素っ気ない返事。冷たいなぁ。ひょいと立ち上がって見上げた空は広くどこまでも続いている。そこから視線を下ろせば休憩中のメンバーが目に入る。見慣れたメンバー、着慣れたユニホーム、やりなれたサッカー。「そんなに退屈か?」ぐさりと突き刺さる一言。「…別にそんなこと言ってない」「嘘だな」「…」「理解し合ってるって言ったのはお前だろ」確かにそうだ。墓穴掘ったなぁ。「別にお前が楽しかろうが退屈だろうが関係ないけど、」「…けど?」「サッカーは楽しくやるもんだろ」「…うん」うん、そうだよね。「次腑抜けな真似したらその番号奪うからな」「りよーかい!」よし、頑張ろう!休憩終了を知らせる監督の声が響く。各々が動き出す中こちらに向かってくるいくつかの姿。「行こうぜ!」「うわっちょっと待て!」強引に手を引いて走り出す。真田は座ってたからバランスを崩したけど転ぶようなやわな鍛え方してないからね、あっという間に立て直して走り出す。まだまだ行ける気がしたよく晴れた日の午後。

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いっそ清々しいまでに。そう在れれば幾分かこの人生は楽だっただろうか。助けられる命は少ない、その事実に直面した時自分は何なのだろうかと思考の泥沼に沈み込むことになる。救急救命に携わった後なんかは特に。研修医時代もそうだったなぁとソファの上で思う。慌ただしかった夜が明けての僅かな短い静寂。疲れ切った医師や研修医達が次々倒れ込む。数十分でも寝れれば幸運だ。もうすぐに通常の診察が始まってしまう。あぁ、でも眠いな。家に帰っても頼みの東海道は研修に出てていないから、全て自分でやらなくては。溜息しか出ないのは仕方ない。「山陽先生」短い休息時間の終了を告げに来たのは看護師の秋田だ。相変わらず白衣がよく似合う。中身は天使というより悪魔だが。「了解、今行く」声は疲労に満ちているが顔に出すわけにはいかない。壁にかけていた白衣を羽織って、深呼吸を一つ。さぁ、仕事だ。

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「好きだよ」たった一言で閉じ込めたつもり?駄目だよ、そんなんじゃ。全然足りない。抱き寄せて、愛してるって囁いて。「大好き」「そんなんじゃやだ」ぷんっ!なんて効果音をつけて怒ったふり。ねぇねぇ言ってよ。甘やかな声を出して舌ったらずに名前を呼ぶ。この仕種に弱いよね。はぁ、わざとらしい仕種付きの溜息は俺に呆れたんじゃなくて可愛くて仕方がないってやつ。分かってるんだよ俺。だから素直に言ってくれればいいのに。もうずっと俺の手の内なんだから。少しの沈黙。すっとまわされた腕に身を預ければ耳元に吐息。ぞくっとした。「愛してる。俺にはお前だけだ」少し低めの腰に響く声が直接注ぎ込まれる。気持ちいい。「俺も愛して、ん、」紡ごうとした言葉は不意打ちの口づけで掻き消された。

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