あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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・加工された心(私なら腐敗を選ぶ)
長い。タイトルの()内の潔さが日様のイメージ。英と日は島国同士本質的な考え方が似てると良い。英と米のくだりと駆け引きみたいなものが書きたかった。
・気取った道化に価値は無い
FYは二人とも仮面を被った道化ですよ、っていう。
・喰った痕
長い長い。書きながら自分でも長いなぁって思った。結構温めてきたネタなので書けて満足。今後18的な展開が書きたいとか思う。吸血鬼ものは攻めよりも受けが吸血鬼の方が好き。さて、山陽と東海道。喰われたのはどっち?
・消し炭になるまで恐怖する
前にちょっとだけ話したにょたメトロ。これも設定を後であげる予定。幼女な銀座様を全力で推します。恐怖=人身。メトロはホームドアが多いからそれほど怖くはないかもだけど、やっぱり怖い。けれど日常は当たり前にある。
・後遺症は雨に似て
医者パラレル。夜勤とか手術とかERとかの医療知識は皆無だからほんとにこんなことが起こるかは分かりません。私だけが楽しい。後遺症は救えなかった命に対する公開だとか悲しみ。
長い。タイトルの()内の潔さが日様のイメージ。英と日は島国同士本質的な考え方が似てると良い。英と米のくだりと駆け引きみたいなものが書きたかった。
・気取った道化に価値は無い
FYは二人とも仮面を被った道化ですよ、っていう。
・喰った痕
長い長い。書きながら自分でも長いなぁって思った。結構温めてきたネタなので書けて満足。今後18的な展開が書きたいとか思う。吸血鬼ものは攻めよりも受けが吸血鬼の方が好き。さて、山陽と東海道。喰われたのはどっち?
・消し炭になるまで恐怖する
前にちょっとだけ話したにょたメトロ。これも設定を後であげる予定。幼女な銀座様を全力で推します。恐怖=人身。メトロはホームドアが多いからそれほど怖くはないかもだけど、やっぱり怖い。けれど日常は当たり前にある。
・後遺症は雨に似て
医者パラレル。夜勤とか手術とかERとかの医療知識は皆無だからほんとにこんなことが起こるかは分かりません。私だけが楽しい。後遺症は救えなかった命に対する公開だとか悲しみ。
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・暗唱せよ、鎮魂歌
レクイエムっていったら普かなぁっていう感じ。あと国はどうやったら死ぬのかを無邪気(確信犯)に英に尋ねる米が書きたかった。
・陰鬱に映える馬鹿
鉄道の子たちにとっての陰欝=雨かなぁ、っていう。あと陽東と陽子道子が好きです、えぇ。
・運命に敬礼を
久しぶりにおお振り。桐青っこ達が愛しい。持ち上がり組が可愛い。和さんと準太と利央の学年が3年2年1年なのは運命だと思うのです。
・英雄は女の腹から生まれた
妄想の果ての医者パラレル。でも何故か大学生時代の話。これはあとでちゃんと設定載せる。お題の中で頻発すると思われるパラレルその1。
・温室に友を見る娘
にょたりあで露普。百合美味しいです。露様的には温室=西側っていうか仲良くなりたい子達がいる世界。普的には温室=独の近く。自分の存在で独が損なわれないように離れる普。
レクイエムっていったら普かなぁっていう感じ。あと国はどうやったら死ぬのかを無邪気(確信犯)に英に尋ねる米が書きたかった。
・陰鬱に映える馬鹿
鉄道の子たちにとっての陰欝=雨かなぁ、っていう。あと陽東と陽子道子が好きです、えぇ。
・運命に敬礼を
久しぶりにおお振り。桐青っこ達が愛しい。持ち上がり組が可愛い。和さんと準太と利央の学年が3年2年1年なのは運命だと思うのです。
・英雄は女の腹から生まれた
妄想の果ての医者パラレル。でも何故か大学生時代の話。これはあとでちゃんと設定載せる。お題の中で頻発すると思われるパラレルその1。
・温室に友を見る娘
にょたりあで露普。百合美味しいです。露様的には温室=西側っていうか仲良くなりたい子達がいる世界。普的には温室=独の近く。自分の存在で独が損なわれないように離れる普。
早朝というには薄暗い朝五時。ようやく家に帰ってこれた。夜勤のあと手術が立て続けに入って結局二日以上病院で過ごすことになった。仮眠室もあるが眠れた直後に呼び出されていれば休めるわけもない。睡眠時間が足りない中、車で帰るのは怖かったのでタクシーを呼んで帰ることにしたのは正解だったと思う。「…ただいま」「おかえりー」ドアを開けると山陽からの返事。「うぉ、大丈夫かよ?」頷くことで問いに答える。予定していた手術が一つ。そこに緊急で来た患者の手術を出来るのが自分しかいなくて更に一つ増えて、最後にERからヘルプを頼まれた。それが大仕事だった。流石に疲れた。「疲れてんなぁ。寝る前に風呂入ってこいよ。ほら荷物持つから」こうゆう時同居人がいるというのは大変助かることで、まして気が利く人間なら尚更。荷物を預けてふらふらと浴室に向かうと既に着替えが用意してあった。流石だ。きっと風呂から出れば軽い食事が用意してあるのだろう。循環器外科の自分と内科の山陽でなんとか夜勤が被らないようにしているからこそ出来ることだ。ちゃぷんと浴槽に浸かるとようやく身体から力が抜ける。あぁ、疲れた。常に命と向かい合うことは覚悟していても大変なことにかわりはない。掬いあげた水の様に指の間をすり抜ける命がある。昨日の夕方にERにヘルプに行った時、そこは戦場だった。近くで交通事故があり、玉突きになって怪我人が発生。バスだったものだから人数も多く、他の病院にも手伝いを頼み、院内でも手の空いている医師が多数ヘルプに回った。麻酔科の山形や小児外科の北陸と上越もヘルプとして参加していて、皆慌ただしく動き回った。一段落したのがその日の深夜、つい三時間程前のことだ。風呂から出て疲れ切った体を引きずって行けば、やはりテーブルの上には軽い食事。残念なことに食欲は無い。睡眠欲の方が勝っている。「東海道ー、眠いのはわかるけどこれ食ってから寝ろって」山陽はテーブルから手招きをする。「ほとんど飲まず食わずだったんだろ?」どうやら事情は分かっているらしい。秋田辺りが言伝たのだろうか。「…そうだな」何も食べないというのも体に良くないので、席に着くことにする。スープに口をつけると胃に優しい味がした。「旨い」素直に感想を述べると俺が食べたことに安心したのか山陽が微笑んだ。「俺は今日午後からだから昼も作っておくよ。そのかわり夜ご飯よろしく」「了解した」夜ご飯といっても恐らくは十一時を過ぎるだろう。一度寝て、昼ご飯を食べて買い物に出ればなんとかなる。これ以上働かない頭で考えても仕方ない。よろよろと寝室まで歩く。「おやすみ」「おー、おやすみ」ベッドに倒れ込むと一瞬で意識がブラックアウトした。
「おはよう銀座」「あら、おはよう丸の内」銀座の朝は早い。私が起きていくととっくに仕度は終わってて優雅に紅茶を飲んでる。緩くウェーブがかかった腰あたりまである栗色の髪、白のブラウスにシンボルカラーのオレンジのリボンとベージュのマーメイドスカート、両手を覆う白レースの手袋。幼女というべき姿に関わらず彼女はとても大人びていて美しさと気品に溢れている。それは紅茶を飲む姿一つにしてもそう。絵になるっていうのはこうゆうことを言うのよね。「丸の内、早く朝ご飯食べないと遅刻するわ」早く行きましょう?「えぇ」テーブルに用意されていた朝食に手をつける。パンとスクランブルエッグとサラダとスープ。うん、美味しい。「今日は皆でランチにでもいきましょうか」「良いわね、私この前気になる店を見つけたの!」「じゃあ、そこにしましょう?」「えぇ!」皆でランチなんて久しぶりだわ、楽しみ。今日は午前中はずっと会議だからきっと皆行けるはず。何も、起こらなければ。「今日は何もおきないといいわね」「本当に」ごちそうさまと手を揃え、食器を片付ける。「じゃあ行きましょうか」 今日も一日が始まる。
「あー、大丈夫か?」仕事から帰ってくるとソファの上で動く気配のない同居人。「…、あまり大丈夫ではないな」真っ青な顔をした東海道が呟く。ただでさえ痩身で肌の色も白いのだから、いっそ病的だ。死にそうと言い換えても良い。この男、自分で言うには純血の吸血鬼らしく、別に大して血を飲まなくても構わないのだという。しかも血の味が大嫌いで飲みたくないと言うのだから、そりゃあ飲む量なんて少ない。が、残念なことに全く飲まないと死んでしまうわけだ。しかも混血の吸血鬼と違って必要なのは人間の血。そして東海道が1番嫌うのも人間の血だ。大変な悪循環。たいていの吸血鬼というのは餌用の人間を飼っていて、洗脳して自分に害がないようにしてから側において置く(と言うことを貧血で思考力の落ちた東海道から聞き出した。こいつは自分のことを話したがらない)らしい。で、そんな吸血鬼と人間の俺なんだけど、俺が洗脳されてるかといえばそうではない。そりゃ人間の血が嫌いな奴なんだから洗脳なんてされるわけもない。じゃあ、なんで一緒にいるのかっていうと、まぁ、拾ったんだ、俺がこいつを。東海道には兄がいて(弟もいるらしいが)、そいつとは致命的に仲が悪い。喧嘩なんて日常茶飯事で、まぁその喧嘩の理由は大体が価値観の違い。んで、耐え切れ無くなった東海道が家っていうか吸血鬼の世界を飛び出した(と言うことを貧血で以下略)。まぁ、もう死ぬ気だったんだろうなぁ、というのが拾った時の印象。深夜の公園で倒れてるのを放っておけなくてそのまま家に連れ帰った。目が覚めて、吸血鬼だから此処には居ない方が良いっていうのを無理矢理引き止めた。このまま別れたら完全に自殺されると思ったし。そうゆうのは目覚めが悪いからなんて言って。たかが食い物のことで自殺なんか考えるなよ、というツッコミは既にいれてあって、それに対する返答は、じゃあお前は犬の血を飲んでまで生きたいと思うのか、というものだった。うん、確かに生理的に無理だ、それは。ペットとして可愛いってのもあるけど、なんか人として無理な気がする。でも、だからって死ぬことはないだろ?そんなわけで奇妙な同居生活は続いている。俺は普通に仕事して(会社員ね、サラリーマンなのよ俺)、東海道は調子さえ良ければ日雇いのバイトをやって、稼いだ金はそのまま俺に回ってくる。別に食費がかかっている訳でもないのでいらないって言ってるんだけど、人間は金はあっても困らないだろう?といって聞かない。妙な所で人間事情に詳しいから不思議だ。見た目は普通の人間と変わらないけど、血無しで一ヶ月は持たない。それが過ごしているうちに分かったことだ。だから俺は東海道の飲み物とか食べ物の中に数滴だけど俺の血を混ぜて食わせてる。結構な量を入れちゃうと気づくんだよ、こいつ。まぁ、無いよりはマシだよなっていう量だけど。そういえば前回の食事からそろそろ一ヶ月だ。もう限界だろう。「東海道ー、ほら飲めって」痕の残った左手を差し出す。が、そんな素直に飲む訳がなく、首を振るばかり。自殺は諦めたらしく前よりは大分素直に飲むようになったものの、やはり嫌いなものは嫌いらしい。「ほら、な?飲めって」「…」あー、もうしゃぁねえなぁ。つかすげーよ、東海道の理性。飢餓状態だせ?目の前に食べ物出されて堪えられるのが信じられない。という訳で最終手段、カッター。ぱきんと新しい刃を出して、手首にさっくりと傷をつける。「ほら」血特有の臭いが広がって、ようやく東海道もその気になってくれたらしい。ぱくりと傷口を口に含んでこくんと飲み込んだ。血を飲まれてる間は痛みも違和感もなくて、終わった後傷つけた手首には痕も残っていない。吸血鬼の能力なのだそうだ。映画などでは吸血鬼に血を吸われると快感を感じる設定が多いから、そうゆう能力は持ってないの?と聞いた所、持ってはいるが、別段使う必要はないだろう?とのこと。うん、確かに必要ない。だって俺は充分にそれを得てしまっている。表向きは自殺なんかされたら目覚めが悪いからなんて言っているが、本当は違う。あの日、東海道を拾った夜。あいつは覚えてないみたいだけど、俺は血を吸われている。多分本能だったんだろう。部屋に連れて帰ってベッドに寝かせて、顔を覗きこんだら、うっすらと目を開けたから、気がついたんだと思った。大丈夫かよ?と伸ばした手は思い切り捕まれて、かぷりと噛み付かれていた。飢餓状態だった割に飲んだ量は少なくて(思い返した時にそこまで嫌いなのかよと思ったものだ)身体に違和感はなかった。こくんと東海道の喉が動くまで、俺は驚きで身動きも悲鳴をあげることも出来なかった。ただそれ以上に東海道自身に起きた変化に俺は目を奪われていた。蒼白だった顔は肌色を、パサついていた髪は柔らかな猫っ毛を、冷たかった身体は体温をそれぞれ急激に取り戻した。衝撃だった。そして、それ以上に快感だった。死から生を取り戻した高揚感と誰も手にしたことのない宝物を手に入れたかのような満足感。麻薬のような中毒性を持った快感に一瞬で支配されてしまった。「ん」空腹が満たされたのか、ゆっくりと瞼が開かれる。虚ろだった黒耀石の瞳は光を取り戻してその中に自分が写る。よし、大丈夫そうだ。「うがいしてくる」起き上がった東海道の第一声。いつものことだ。またしばらくは平気だな。ちょっと寂しいなんて思っている自分をごまかすために心の中で呟く。奇妙な同居人に依存しかけてる自分に気づいていないふりをして、俺は着たままだったスーツを着替えることにした。
「おはようございます、先輩。もう11時ですよ」「あー、うん。おはよ」「今ご飯用意します、スープだけで良いですよね?」「うん、よろしく」「座っててください、寝ないでくださいよ?」「うん、なぁ、副都心」「何でしょう?」「お前よく出来た後輩だよなぁ…」それは貴方が酷いだけです、とは言わない。なにせこの先輩は素直なタイプに見えて大層捻くれていらっしゃる関係で褒め言葉なんてこうゆう寝ぼけてる時位しか言ってくれないので。散乱した書類、片付けられていない台所、散らかった部屋、まともな場所はベッドだけ。はじめて先輩の部屋に連れて来られたときの有様は本当に酷かったというか衝撃だった。この人仕事場の机は常に整理整頓されていて、メトロの中では二番目に綺麗だったから(もちろん一番は銀座さん。あの人は書類とか関係ない)。まだ小さかった俺には、これが所謂ギャップというやつだろうかと(直前に丸の内さんから、有楽町先輩はギャップがすごいと教わっていた)色々考えたりしたものだ。懐かしい。「はい、どうぞ」温め直したスープを渡す。ミネストローネは野菜も沢山取れるし、先輩が好んで飲んでくれるのでよく食卓に上がる品だ。僕は平日だろうと休日だろうと同じ時間に起きるタイプなので、朝食はとっくに済ましている。先輩はご覧の通り、休日は寝れるだけ寝ていたいタイプ。「ごちそうさま」先輩はようやく目を覚ましたらしく、食べ終わった食器を持って台所に消えていく。部屋の掃除はしたし、ゴミも捨てた。後は買い物に出て必要なものを揃えるだけ。。うん、本当に俺は出来た後輩だ。「先輩ー、俺買い物行きますけど何か必要なものってあります?」「特に何も」「了解しました。行ってきます」「いってらっしゃい」常識人で苦労人と傍若無人な後輩という仮面は仕事中だけ。そんな俺達のそんな日常。
同盟を結んだ東のはずれの島国。春の陽射しがあたたかな日、俺はその国を訪れた。訪れた時期が良かったらしく、桜は満開。その美しさを目の前に「綺麗だな」と自分にしては素直な感想が言えたものだ。「夏は夏で美しいのですよ」秋は秋で、冬は冬で。美しい四季の国ですから。「是非いらしてくださいね」その立ち居振る舞いと人柄から穏やかな国なのだとわかる。このどこにあの鋭利さを隠し持っているのか、不思議でならない。そう伝えれば「私だってそうですよ」と意外な答えが返ってきた。アメリカくんのお兄さんだと聞いていたので一体どんな方なのかと思っていたのです。あぁ、あいつか。確かにあんな風に育てた覚えは無いんだけどな、思わず呟けば、でしょうね、と穏やかな微笑みが向けられる。その微笑みの裏で何を考えているのか。欧州の連中はある意味で分かりやすい。嫌いなものは嫌い、それを押し付けるならば抵抗するしその手段は問わない。けれどこの国は違う。全く違う形で俺達を脅かす存在になるだろう、国としての直感が警報を鳴らした。警報は未だに鳴り響きその音は大きくなるばかり。あぁ、でも、お茶を飲んでいた手を止めて日本が呟く。「似ているところもありますよね」「…例えば?」「たまに何もかも見透かしたような目をするところとか、無意識に相手と距離をとるとか」似ていますよ、とお茶を片手に日本は微笑む。嫌な沈黙が降りた。よろしければどうぞ、多少苦いかもしれませんが、との注釈付きで出されたお茶を飲むことでごまかす。やはり苦い。「あと、」「?」「当たり前の様に自分が上だと思っているところもそっくりです」「…」「あれ、違いますか?」穏やかな微笑みを貼付けてはいるものの、瞳が笑ってはいない。夜の湖の様な黒の奥、燃えるのは青い炎。かちゃり、横に置かれていた日本刀(これも大層美しい)が鳴る。それを手に取ったのだと理解したと同時に自分も銃に手をかけていた。早打ちに自信は無いが、刀を抜くよりも早く引き金を引く自信はある。殺気と緊張が一気に駆け抜ける中、沈黙を破ったのは向こうだった。「今、私より早く自分は引き金を引ける、と思いましたね」「…あぁ」その通りだ。…、成る程。「そこが嫌いか?」「いいえ」あっさりと刀にかけた手を外す。それに合わせて俺も手を戻した。他人の家で騒動を起こす必要などない。まして今は一応友人なのだから。「どうやら私は貴方の事を誤解していたようです」「…」「打つと思いました、私が刀に手をかけた瞬間に」「友好関係にある国の家で無駄な騒動を起こす必要はない」「…アメリカくんは打ちましたよ」あの馬鹿、何をやっているんだ。「失礼しました」すっ、と青い炎が消える。あぁ、恐ろしい。新しいお茶をいれてきますね、と立ち上がり台所へと歩いていくその姿に足音は無い。気配など当然の如く。全くとんでもない国がいたものだと、同盟を組んだのはある意味正解だったと、自分の直感に感謝した。
私の国は寒いと言われる事がとても多い。寒すぎてこんなところには住めないわ、なんて言われたことだって。冬将軍は戦の時は役に立つけれど、お友達を作る時には嫌われてしまう。同じ北の国でも北欧と呼ばれる子たちは皆と仲良しなのに、どうして私は嫌われてしまうの?兄さんに聞いてもあの人は優しいから答えてはくれない。弟は私がいればそれで良いというばかり。ずっとずっと悲しかった。ようやく皆と仲良く出来ると思ったのに、お友達になれると思ったのに、今度は超大国と呼ばれる若い子が邪魔をする。ねぇ、どうして?私はただ皆と仲良くしたいだけなのに。ちょっとだけ仲良くなれた子たちは皆離れていってしまった。寂しい。悲しい。「何泣いてるのよ」私以外誰もいないはずの家にアルトボイスが響く。なんで、どうして。「向こう側に行ったんじゃないの?」そう、この子だって向こうに行ってしまったはずだ。最愛の妹がいる向こう側に。「確かに手続きをするためには行ったわね」向こう側に行けたのに戻ってきたというの?「どうして…」「あの子の側に私はこれ以上いられない、それだけよ。それに…」「それに?」「向こう側の空気が、私はあまり好きではないの」ぬるま湯のような場所なんて私にはいらないわ。「それに、ここは充分あたたかいもの」ねぇ、そうでしょう?だからよろしくね。差し出された手はぬくもりに満ちていた。
女の人って偉大だよなぁ、と山陽がいきなり呟くものだから、タイピングしている手が思わず止まる。山陽の無駄話が長いのは知ってるし、そんな事をお互いにしている場合ではないのだけれど(レポートの締め切り的な意味で)、まぁ、たまには良いかと手を休めることにした。目の酷使で大分疲れているし、何より見通しがたったので。そうだな、と独り言に答えると、返答があったことが意外なのか少し遅れて反応が返ってきた。先を促すとゆっくりと話し出す。それは、知り合いの医者の体験で、交通事故に母親と幼児が巻き込まれ、幼児は母親が庇って無傷だったものの、母親はもろに車とぶつかった為に意識不明の重体、数週間生死の境目をさまよいこの前ようやく意識を取り戻した。その時の第一声が子供の無事を確認するものだった、という話だった。女の人って偉大だよなぁ、再び同じように呟く山陽に、同じように返す。そうだな。きっと母親からしてみれば子供というものが命よりもずっと大切で守りたいものなんだろう。母というものに対してろくな記憶を持ち合わせていない俺達には、そのあたたかさが少し羨ましい。母親かぁ、机に伏せてこのまま回想という名の現実逃避に突入しそうだが、そんな余裕はない。「それよりも、さっさとレポートをやれ。締め切りは明日だからな」「…はーい」そんな完徹二日目の深夜の話。
3年生のいなくなったグラウンド、3年生のいなくなった部室。何かが足りない部活。皆不安で、思うようにいかない。先輩達はしごきに来てくれるけど、あの人が来ない。俺と準さんにとって絶対的なあの人が。投手ってのは微妙な生き物なんだよ、そう教えてくれたあの人が。俺は投手を準さんしか知らないから他の人はよく分からないけど、確かに準さんは微妙な難しい人だ。けれど、長くいればわかる事だってある。ねぇ、準さん。準さんはちゃんと向き合いたいんだよね。そうしなければ準さんの夏は終わらないんだよね。あの雨の日に決着をつけなければこの人は前に進めない。それは当たり前だと思う。俺にはよくわかるんだ。そして、練習に来てくれない、来れない和さんの気持ちも俺にはよくわかる。ずっとずっとずっと、この人達の背中ばかり見てきた俺には分かってしまうんだ。一年間。正確に言えば、たった半年だ。俺達三人が一緒に野球が出来るのは。上手くいかないものだ。はぁ、と思わず出たため息は準さんに届いたらしいく怪訝な顔をされた。忘れてたけど今は投球練習中だっけ。ごめんね準さん、へらっと笑えば、更に微妙な顔をする。次に来たボールはやっぱり速球で練習じゃ投げない速さだ。ミット音で気がついたタケさんが不思議そうにこっちを見てるし、迅は迅で不安を全面に押し出してこっちを見てる。むぅ、ちょっと機嫌を損ねちゃっただけなのに大袈裟な。切り替え切り替え。座り直して構えれば、納得してくれた様で無表情に戻って構える姿が目に入る。待ってるからね、準さん。呟いた一言は真夏の青空に消えた。
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