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あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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雨。局地的に大量に降るのが特徴で、ゲリラ豪雨と名付けられたそれは今年もやっぱり俺達の行方を阻む。規定量なんてあさっさり越えて、東海道が止まったのは一時間程前。新大阪に向かっている途中だという連絡を本人達から受けた。大阪も豪雨と言うほどでは無いけれど雨が降っている。そんな訳で新大阪の執務室は俺と陽子だけ。もう、全く嫌な天気だわ!効果音をつけるならば、ぷん!と言ったところだろうか。東海道と道子がいつ戻ってきても良いようにタオルを準備しながら窓の外を睨みつけている。「早く戻ってこないかなぁ」呟いた一言はほぼ同時、内容も同じであればもう互いに苦笑いしかない。ここにあの二人が戻って来ればきゃんきゃんと癇癪を起こすに違いない。それすら愛おしくて、早く会いたいなんて思っているのだから、俺らは本当に、大概だ。

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いつか、きっと。それが今になっただけだと亡くなりつつあるその国は言った。俺は、いや俺達は何処かで期待していたかもしれない。存在意義を失えば消えていくしかなかった永き過去から開放されたのではないかと。かつてほど消えることが無くなった国達と名と土地と民を失っても生きていた国がいた事実。けれど、そんな優しい世界では無かったということなのだ。いつだって世界は残酷さばかり押し付ける。今、決定権も何もかも俺達に、いや、あいつにある。国はどうやって死ぬんだい?と無邪気に聞いてきたその手の中に。国は死なねぇよ。返した声は少し震えていた。へぇ、そうなんだ。嫌な笑い方をするようになったものだ、目の奥が酷く濁っている。そう、国は死なない。ただ、消えるだけだ。服も髪も骨も何もかも消える。お前は味わったことがないんだろう、その恐怖を。足から感覚が無くなって、存在が希薄化していくのを。そして、目の前でただ見ていることしか出来ない無力感を。死亡書にゆっくりと名が書き込まれていく。身体中に染み付いているレクイエムが勝手に流れ出す。荘厳な音色が脳内で響いて反響する。叩き付けるような音が今頃恐怖と無力感を知っているの国達の中で暴れているだろう。名が全て書き込まれると、ペンは床に落ちた。椅子にはもう誰も座ってはいなかった。

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ジャンル混在のSSS用。

配布元:不在証明様(http://fluid.hiho.jp/ap/
50音お題 「d」

暗唱せよ、鎮魂歌
陰鬱に映える馬鹿
運命に敬礼を
英雄は女の腹から生まれた
温室に友を見る娘

加工された心(私なら腐敗を選ぶ)
気取った道化に価値は無い
喰った痕
消し炭になるまで恐怖する
後遺症は雨に似て

頑丈な檻の秘密
犠牲はきれいに無視
群生群青
劇場で産まれた罪人
五色灰

サディストの核心を盗む
沈みゆくドールの歌声
衰退気分
背伸びに疲れてヒールを買った
外までご案内、その先無関心

懺悔が足りない
自己告発
頭上から泣き声
贅沢な夜空
造花を束ねて谷底へ

企みの公開処刑
沈黙は平和を許さない
墜落までに幸運を掴め
手鏡に読む別れ
凍傷は微笑む

大好きな破滅論
出来れば死を奪う
奴隷の育んだ刃

凪ぎを知った逃亡者
似た者同士の騙し合い
盗人に屈辱の栄光を
眠りを叩き割る卵
望みを知られた孤独の身投げ

花嫁衣裳はよく燃える
日溜まりが殺す影
不敗の終わり、腐敗の始まり
平気だから窓を開けてくれ
報復完了

薔薇は絶滅した
美人の朗読
無粋に論じた他人の人生
弁論を得意とする鼠
暴走が止まらぬ

パンドラの箱を造る
ピリオドの気配
プラスチックは愛を語らない
ページを捲る指先の傷
ポラロイドカメラは猫を写した

まだ心は此処に在るので
ミューズは願いを叶えない
貪り尽くした証拠は無
冥土の土産に世界の死を
求め間違えた温かい手

約束は守られた
愉快犯の蝶殺し
余興に喘ぐ陸上の魚

裸婦の視点の画家
倫理裁判
瑠璃に映る青
レトリックは無知を晒す
蝋燭の示す秘め事

話題の尽きた日曜日

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