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あの頃のままに優しさだけを乗せて紡がれる名前。ねぇ、俺はどんな風に貴方の名前を呼んでたっけ? ―只今休止中
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女の人って偉大だよなぁ、と山陽がいきなり呟くものだから、タイピングしている手が思わず止まる。山陽の無駄話が長いのは知ってるし、そんな事をお互いにしている場合ではないのだけれど(レポートの締め切り的な意味で)、まぁ、たまには良いかと手を休めることにした。目の酷使で大分疲れているし、何より見通しがたったので。そうだな、と独り言に答えると、返答があったことが意外なのか少し遅れて反応が返ってきた。先を促すとゆっくりと話し出す。それは、知り合いの医者の体験で、交通事故に母親と幼児が巻き込まれ、幼児は母親が庇って無傷だったものの、母親はもろに車とぶつかった為に意識不明の重体、数週間生死の境目をさまよいこの前ようやく意識を取り戻した。その時の第一声が子供の無事を確認するものだった、という話だった。女の人って偉大だよなぁ、再び同じように呟く山陽に、同じように返す。そうだな。きっと母親からしてみれば子供というものが命よりもずっと大切で守りたいものなんだろう。母というものに対してろくな記憶を持ち合わせていない俺達には、そのあたたかさが少し羨ましい。母親かぁ、机に伏せてこのまま回想という名の現実逃避に突入しそうだが、そんな余裕はない。「それよりも、さっさとレポートをやれ。締め切りは明日だからな」「…はーい」そんな完徹二日目の深夜の話。

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3年生のいなくなったグラウンド、3年生のいなくなった部室。何かが足りない部活。皆不安で、思うようにいかない。先輩達はしごきに来てくれるけど、あの人が来ない。俺と準さんにとって絶対的なあの人が。投手ってのは微妙な生き物なんだよ、そう教えてくれたあの人が。俺は投手を準さんしか知らないから他の人はよく分からないけど、確かに準さんは微妙な難しい人だ。けれど、長くいればわかる事だってある。ねぇ、準さん。準さんはちゃんと向き合いたいんだよね。そうしなければ準さんの夏は終わらないんだよね。あの雨の日に決着をつけなければこの人は前に進めない。それは当たり前だと思う。俺にはよくわかるんだ。そして、練習に来てくれない、来れない和さんの気持ちも俺にはよくわかる。ずっとずっとずっと、この人達の背中ばかり見てきた俺には分かってしまうんだ。一年間。正確に言えば、たった半年だ。俺達三人が一緒に野球が出来るのは。上手くいかないものだ。はぁ、と思わず出たため息は準さんに届いたらしいく怪訝な顔をされた。忘れてたけど今は投球練習中だっけ。ごめんね準さん、へらっと笑えば、更に微妙な顔をする。次に来たボールはやっぱり速球で練習じゃ投げない速さだ。ミット音で気がついたタケさんが不思議そうにこっちを見てるし、迅は迅で不安を全面に押し出してこっちを見てる。むぅ、ちょっと機嫌を損ねちゃっただけなのに大袈裟な。切り替え切り替え。座り直して構えれば、納得してくれた様で無表情に戻って構える姿が目に入る。待ってるからね、準さん。呟いた一言は真夏の青空に消えた。

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雨。局地的に大量に降るのが特徴で、ゲリラ豪雨と名付けられたそれは今年もやっぱり俺達の行方を阻む。規定量なんてあさっさり越えて、東海道が止まったのは一時間程前。新大阪に向かっている途中だという連絡を本人達から受けた。大阪も豪雨と言うほどでは無いけれど雨が降っている。そんな訳で新大阪の執務室は俺と陽子だけ。もう、全く嫌な天気だわ!効果音をつけるならば、ぷん!と言ったところだろうか。東海道と道子がいつ戻ってきても良いようにタオルを準備しながら窓の外を睨みつけている。「早く戻ってこないかなぁ」呟いた一言はほぼ同時、内容も同じであればもう互いに苦笑いしかない。ここにあの二人が戻って来ればきゃんきゃんと癇癪を起こすに違いない。それすら愛おしくて、早く会いたいなんて思っているのだから、俺らは本当に、大概だ。

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いつか、きっと。それが今になっただけだと亡くなりつつあるその国は言った。俺は、いや俺達は何処かで期待していたかもしれない。存在意義を失えば消えていくしかなかった永き過去から開放されたのではないかと。かつてほど消えることが無くなった国達と名と土地と民を失っても生きていた国がいた事実。けれど、そんな優しい世界では無かったということなのだ。いつだって世界は残酷さばかり押し付ける。今、決定権も何もかも俺達に、いや、あいつにある。国はどうやって死ぬんだい?と無邪気に聞いてきたその手の中に。国は死なねぇよ。返した声は少し震えていた。へぇ、そうなんだ。嫌な笑い方をするようになったものだ、目の奥が酷く濁っている。そう、国は死なない。ただ、消えるだけだ。服も髪も骨も何もかも消える。お前は味わったことがないんだろう、その恐怖を。足から感覚が無くなって、存在が希薄化していくのを。そして、目の前でただ見ていることしか出来ない無力感を。死亡書にゆっくりと名が書き込まれていく。身体中に染み付いているレクイエムが勝手に流れ出す。荘厳な音色が脳内で響いて反響する。叩き付けるような音が今頃恐怖と無力感を知っているの国達の中で暴れているだろう。名が全て書き込まれると、ペンは床に落ちた。椅子にはもう誰も座ってはいなかった。

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ジャンル混在のSSS用。

配布元:不在証明様(http://fluid.hiho.jp/ap/
50音お題 「d」

暗唱せよ、鎮魂歌
陰鬱に映える馬鹿
運命に敬礼を
英雄は女の腹から生まれた
温室に友を見る娘

加工された心(私なら腐敗を選ぶ)
気取った道化に価値は無い
喰った痕
消し炭になるまで恐怖する
後遺症は雨に似て

頑丈な檻の秘密
犠牲はきれいに無視
群生群青
劇場で産まれた罪人
五色灰

サディストの核心を盗む
沈みゆくドールの歌声
衰退気分
背伸びに疲れてヒールを買った
外までご案内、その先無関心

懺悔が足りない
自己告発
頭上から泣き声
贅沢な夜空
造花を束ねて谷底へ

企みの公開処刑
沈黙は平和を許さない
墜落までに幸運を掴め
手鏡に読む別れ
凍傷は微笑む

大好きな破滅論
出来れば死を奪う
奴隷の育んだ刃

凪ぎを知った逃亡者
似た者同士の騙し合い
盗人に屈辱の栄光を
眠りを叩き割る卵
望みを知られた孤独の身投げ

花嫁衣裳はよく燃える
日溜まりが殺す影
不敗の終わり、腐敗の始まり
平気だから窓を開けてくれ
報復完了

薔薇は絶滅した
美人の朗読
無粋に論じた他人の人生
弁論を得意とする鼠
暴走が止まらぬ

パンドラの箱を造る
ピリオドの気配
プラスチックは愛を語らない
ページを捲る指先の傷
ポラロイドカメラは猫を写した

まだ心は此処に在るので
ミューズは願いを叶えない
貪り尽くした証拠は無
冥土の土産に世界の死を
求め間違えた温かい手

約束は守られた
愉快犯の蝶殺し
余興に喘ぐ陸上の魚

裸婦の視点の画家
倫理裁判
瑠璃に映る青
レトリックは無知を晒す
蝋燭の示す秘め事

話題の尽きた日曜日

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私の中で好きなもの(文章)=書きたいものではあるけれど、それらは=萌えではないという。だから私の文章には萌えが存在しないっていう。一回全力で萌えを狙った話でも書いてみようかしら・・・?いやでもそもそも萌えってなんだってことになりかねないのでやっぱりやめとこう。
っていうかさっさと書きあげようと思って鉄道のSSのところにタイトル上げといたのに全く筆が進まないミラクル。書きたいとこだけ書いて満足しちゃう私の悪い癖ですね。あと三分の一くらいなのになぁ・・・。

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Mainで今まで書いた文章達を一覧にしてみました。鉄道はほとんどっていうか全てSSS。SSにあるタイトルで線が引いてあるやつは今書きかけのやつです。陽東だよ。次はにょたメトロを形にしたい。出来るかわかんないけど。で、国のSSとSSSはほとんど前に書いたやつを加筆修正したりそのままだったりするわけで。国はもう、新しく書くの厳しいかもしれない。でも国も鉄道もまだいくつか温めてるネタがあるから形にしていければいいなぁ、とか思うのです。あと文体を微妙に変えたいし、いままで書いたことないような内容にチャレンジしたい。願望ばかりが募って時間が足りないのです。あーあ。

んで、昨日の話。昨日つたやで漫画を借りてきたのです。えぇ、ずっと気になってた、というか読んだら絶対はまるから避けてきた「GIANTKILLING」を!えぇ、やっぱり面白かったですとも!買ってやろうと思いました。古本てちょっとずつでも買っていきますとも!取り合えず暇が出来たら古本屋行くよ!といっても今週木曜日はフルートだから厳しいけどね!監督がかっこいいし、椿君可愛いし、王子全力で王子だし、村越さん良い人すぎるし、展開が超気になる。誰か語ろう!
あと昨日ガンバのサッカー見てて思ったけど、ホント私サッカー好きね、っていう。テンションが気持ち悪いっていう。まぁ、カンバのサッカーが好きすぎるからかもしれないけどホント昨日の私気持ち悪い。そのあとのスポーツニュースで君と羊と青が流れてきて余計テンションあがってもはや何が何だか。あとそのあとの10分位の番組でサッカー漫画の特集やってたけどそこにホイッスル!が含まれてないことに無性に腹が立ったけど同時にちょっと納得して、ホイッスル!の素晴らしさを延々と横に居た父に語るという。お父さんごめん。でもホイッスル!はサッカー漫画だと思います!ただ、純粋なサッカー漫画ではなく+@の要素は強いかもしれないけど。あと毎回思うのが誰か君と羊と青でホイッスル!のオールキャラ動画作ってくんないかな!みんなでサッカーしてるやつ!

ついでに。学アリの新刊読みました。あれ、切なすぎる。涙しか出てこない。誰か、語ろう・・・!

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 気分が悪い。今の自分の体調も状況もその一言に集約されているようなものだ。まぁ「悪い」などというそんな生易しいものでもないが。
 左手を押さえ込む鎖は重く、動かすたびに嫌な音を響かせ闇を揺らす。壁に繋がっているそれは俺の自由を奪うがこんなものが無くても俺はもう自分の意思で体を動かすことはできないだろう。恐らくは地下牢であろうこの部屋は石畳なせいもあいまって冷え込みが酷い。手足の感覚は痺れを訴えるのみで、もはや体としての機能すら果たしていない。極寒の地での出血と痛みで意識は沈む直前で、時間感覚は失って久しく(今が西暦何年なのかすら分からない。分かるのは冷え込みからして今が秋から冬だということだけだ)最後の記憶は憔悴しきった弟の顔。あぁ、ルーイ。お前は元気だろうか。重くのしかかるこの絶望がお前には無いことを願っている。
 
 「君って結構強情だよね」
 「・・・」
 「合理的な考え方があるってことも分かっててその態度なんだもん。少し感動するよ」

 現れたのは冬の男。二重扉の入り口でいつものように微笑んでいるのだろう。軽やかとも取れる声と優しさを貼り付けた表情で、こいつは俺を見下している。目を開ける力も残ってはいないのであくまで想像だが。そう、確かに俺は分かってはいる。この男の求めているものは自らに対する畏怖と忠誠。例え見かけだけの物だとしても、それを此方の態度に表せばこの闇からは開放される。けれど俺は、その条件を飲むつもりは更々無い。俺が忠誠を誓うのは二人だけ。かつての偉大なる我が王、大王と呼ばれた男と我が最愛の弟、片割れであるルートヴィヒのみだ。それはかつても、そしてこれからも変わることは決してない。

 「何か、用かよ」
 「用というかいつも通りだよ。僕の下につくつもりは?」
 「てめぇも、大概しつ、こいよな。Neinだっつてん、だろ!」

 つぶされた喉で叫ぶ。何年も何十年も続けられた問い。答えも常に同じだ。

 「だよね」
 「・・・・・・・・・?」
 「・・・」
 「どう、した?早く、撃てよ」

 普通なら続くだろう銃声が、無い。 当たり前のようになっていた足への痛みがいつになっても来なかった。痛覚はとっくに壊れたから痛みというよりかは生温い赤い液体が体から溢れ出るという感覚に近いものだが。それが無いなんて、一体どうしたというのだこの北の主は。ゆるゆると瞼を開ければ、暗闇の中ぼんやりと浮かび上がる輪郭は震えていた。それと同時に上から落ちてきた透明な雫。驚きで更に顔を上げて、赤みの強い紫色のその奥を見つめる。それはゆらゆらと寂しげに揺れていて、かつての弟の姿がそこに被った。

 「ねぇ、ギルくん」
 「・・・・・・?」
 「ひとり、は寂しいね」
 「・・・・・・」
 「みんなね、出て行っちゃったんだ」
 「イ、ヴァン・・・・・・?」

 あぁ、最近やけに静かだったのはそのせいか。となると俺の中で何かが消えた感覚があるのも道理だな。終わりとは意外にあっけないものだとと、こうもあっさりしているのかと驚かざるを得ない。そうか、終わりか。ぽつりとつぶやいた一言がやけに重く響いた。
 すっ、と回された腕のその温度は予想よりはるかに温かい。ごめんね、ごめんね。呪文のように耳元で続く呟きに、縋りついてくる様な両腕に。曖昧に浮き沈みする意識は、ただ温もりだけを理解して。よく分からないままに俺はその暖かさを甘受する。

 そして、この温かい腕を振りほどく術など俺はもう知らない。





・友人への捧げ物を加筆修正。といっても大したことはしていない。ザ・ちゅうに。そんでもって実はまだ続いてる露普祭リメイク第4段!

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 底に金箔を沈めたような深い翠。誰よりも森に愛された彼の持つ瞳は夜の木々が奏でるどこまでも澄んだエメラルド。それは光の角度によって多彩な色を魅せる不思議な色合いをしている。その美しい硝子玉の持ち主は今瞼を閉じているので色合いを感じ取ることは出来ないが、かわりに太陽に愛されなかった国独特の白い肌と少しくすんだ金色の柔らかく子供のような髪を梳く。続けて緩やかな曲線の輪郭を撫でれば髪と同じ色をした睫毛がぴくりと揺れたが、起きたわけではないようだった。目の前で眠るこの存在は紆余曲折を経て最近恋人になった存在である。互いに忙しい身なのでこうやって一緒に過ごせることは少なく、そんな恋人と一緒のこの空間から出るのは酷く勿体無いが、彼が起きた時のために朝食を作らなくては。

 ロンドンの空は重く、自分の国のものとは全く異なる存在感を放つ灰色である。上からの緩やかな、けれど確実にかかる圧力に少しだけ溜息。それと同時に止めていた手を動かして、再び料理に意識を戻す。自分流の朝食は俺がこの家に来ると作るものの一つであり、この家の主であるアーサーの数少ないお気に入りの一つでもある。郊外とはいえ朝独特の慌しさが町を支配する中、数歩遅れて見送るかのような気分で喧騒と共存するのは悪くない。
 時間と手間を最小限にした朝食作りはもう終わりそうである。が、それを食べてくれるアーサーが起きてこなくては意味が無い。普段ならばそろそろ起きてくる頃だというのにその気配すら感じられない。古い掛け時計が示す時刻は11時。休日とはいえ流石に起きなくてはまずい時間だろう。気持ちよく寝ている所を起こすのは悪い気もするがここで起こさなければ怒られるのは自分である。それは勘弁願いたい。怒った姿もそれはそれで大変可愛いのだが機嫌を取るのが大変なのだ。

 寝室のドアを開ければ、すぅすぅと安定した穏やかな呼吸音が聞こえてくる。なるべく気配を消して(これから起こすというのに矛盾した動きだが)近づいて、ひょこ、と覗き込めばアーサーは自分が部屋を出た時と殆ど変わらない体勢で眠り続けていた。安心しきった寝顔は彼の幼さを強調していて「熟睡してるねぇ」と思わず声が出た。そこでふと気付く。彼はこんなにも他人の気配に気付かない人間だっただろうか。俺の記憶しているこいつはとにかく人嫌いで、こちらから近づこうものなら猫の様に全身の毛を逆立てて警戒するような、そんな性格ではなかっただろうか。「あれ、俺ってもしかして結構信頼されてたり、する?」呟いた一言は予想以上に部屋に響いて、もぞりと布の塊が動いた。寝返りをうったことで髪が乱れ、露になった額に優しくキスを落とす。額から頬へ、頬から唇へ。「ん・・・」ゆっくりと開かれる瞳を見つめて微笑みを。寝起き特有の少し彩度の落ちた翠が自身を捕らえたのを確認し、「アーサー、起きて」と甘やかな声を注ぎ込む。

「フラン、シス・・・?」
「おはよう、お姫様」

 今日もまた幸せな1日が始まる。





春コミのコピー本を加筆修正。最初は国だったけど、違和感が出てきたので学生っていうか一般人っぽいパラレルに変更。書いた時のテーマは甘く!だったと記憶してます・・・。
 

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 初めて触れたその手は酷く温かかった。あぁ、人の手とはこうも温かいものだっただろうかと久しく誰にも触れていなかったことを思い出した。長らく一人だったせいだろうか、他人に対する接し方なんてとうに忘れていて、自分が酷く扱いにくい部類の人間だと知っているが故の不安、相手と上手くやって行けるかという恐怖。まぜこぜになって出た一言は酷く震えていた、たった「さ、ん、よ、う」の四文字だったにも関わらず、だ。ただ、そう告げた瞬間はっとしたように顔を上げたあいつの黒髪には不釣り合いなほど明るい茶色の瞳に自分が映ったその時にあぁようやく自分は独りではないのだと、そう思った。それだけで私はどれだけ救われただろうか。今も昔も振り返ればいつだってそこに居て、私は決して独りじゃないんだと教えてくれる。始まりのこの日をその温もりを私は、忘れない。
「生まれて来てくれてありがとう、山陽」
-東海道(と山陽)
互いが唯一無二になった日。

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